読書メモ
斎藤環著『承認をめぐる病』を読んだ。2009年以降に専門誌に寄稿した評論/エッセイの寄せ集めであり、内容は暴力、キャラ論、社会事件、精神科診療、哲学、アニメ等、多岐にわたる。根底にゆるやかに流れるテーマは「承認」。「他者の許しがなければ、自分…
『ポピュラー音楽の社会経済学』(高増明 編)を読んだ。「CDが売れなくなった」日本の音楽シーンをめぐる厳しい状況を、経済、ビジネス、技術、社会的観点から総合的・体系的に分析した一冊。読んでいて気になった点をまとめた。※個人的な関心に基づく断片…
石田佐恵子著『有名性という文化装置』を読んだ。有名性をめぐるコミュニケーションのあり方や歴史、オーディエンスのアイデンティティを論じながら、有名性を保証する仕掛けをシニカルに分析する論考。1998年初版と古い本だが、以前取り上げた『「アイドル…
香月孝史著『「アイドル」の読み方---混乱する「語り」を問う』を読んだ。女性アイドルに焦点をあて、古くから社会で共有される「アイドルらしさ」のイメージと今日のアイドルの新しいあり方を比較しながら、アイドルという芸能ジャンルの特性を明らかにしよ…
金満里著「舞う身体、這う身体」(『身体をめぐるレッスン〈1〉夢みる身体』鷲田清一編)を読んだ。著者が主催する「劇団態変」の役者は「全員が身体障害者」であり、著者自身も「三歳でポリオに罹患して首から下の筋力が失われ」ている。この論考で筆者は、…
平野啓一郎著『私とは何か ------「個人」から「分人」へ』を読んだ。一人の人間には色々な顔がある。たとえば家族に見せる顔と友人に見せる顔、職場で見せる顔はどこか違っている。かといってどれかが「嘘」「仮面」というわけではない。どれも確かに「本当…
毛利嘉孝著『ポピュラー音楽と資本主義』を読んだ。20世紀的なポピュラー音楽は資本主義のイデオロギーを再生産するだけで究極にはファシズムと結び付く、という思想家アドルノの解釈を思考の手がかりとして、ポピュラー音楽の歴史や視覚芸術との関係、人種…
平田オリザ著『わかりあえないことから---コミュニケーション能力とは何か』を読んだ。ざっくりまとめると、現在の日本社会が「異文化理解能力」と「日本型同調圧力」のダブルバインドにあっているために特に子どもや就活生は戸惑う場面が多いが、演劇を活用…
本を読んでいて、たまにピンとくることがある。文中に書かれた内容が、堂本剛の表現活動や思想、状況、その他諸々に通じるものがあるのではないかと。 ただ読み流すのも勿体ない気がするため、読書に際して何かしらの発見があった場合にはその都度メモとして…